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症状固定とは?その時期や後遺障害認定手続きについて

 
保険会社からそろそろ「症状固定」にしましょうと言われたのですが、どういうことでしょうか?
「症状固定」というのは、治療を続けてもこれ以上症状が良くならないという状態のことですから、治療を終了させましょうと言ってきたのでしょうね。
でもまだ痛みも残っていて、治療を続けていきたいんです。もう病院へは行けないのでしょうか。
病院へ行ってはいけないということでは、ありません。ご自身のお体の状態を踏まえ、 今後の治療についてしっかり医師にご相談されることをお勧めいたします。

目次

「症状固定」について

「症状固定」後はどうすればいい?

「症状固定」についてよくある質問

「症状固定」について

「症状固定」とは

人身事故が発生した場合、被害者は治療を受けます。 しかし、永遠に治療を受け続けるわけにはいきません。 相手との解決のためには、どこかで治療の区切りをつける必要があります。 そのタイミングは①治癒した場合と、②症状固定した場合です。

「治癒」とは治ったということです。 「症状固定」とは、治ってはおらず症状は依然として残っているものの、一般的な治療を行ってもその治療効果が期待できなくなった状態を言います。リハビリなどで一時的に症状が改善したとしても、またすぐに症状が戻ってしまう、一進一退の状態です。 「治癒」にしても「症状固定」にしても、これによって原則、賠償期間が確定することになります。つまり、それ以後の治療費、休業損害等については基本的に加害者に請求できなくなるということを意味します。 後遺症が残った被害者にとって「症状固定」は、非常に重要なタイミングと言えます。

「症状固定」の重要性

「症状固定」を行うのは、症状固定の前後の賠償を区別して算出するためです。 損害賠償の区分上、症状固定前を「傷害分」、症状固定後を「後遺障害分」と定めており、それぞれ請求できる項目が異なります。 傷害分⇒治療費、交通費、付添看護費、入院雑費、休業損害、入通院慰謝料等 後遺障害分⇒後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料等 「症状固定」となった場合、“それ以降の治療は必要ない”と判断され保険会社からの治療費の支払いはなくなります。また、それまで支払われていた休業損害も、症状固定後は支払われなくなります。 症状固定後に残った症状については、後遺障害等級として認定を受けることが出来ますが、認定されて初めて後遺障害分の後遺障害慰謝料や逸失利益等を請求できることになります。 後遺症の等級を求めるには、医師による「症状固定」の診断を受ける必要があります。

「症状固定」は誰が決める?

「症状固定」は保険会社が決めることなのでしょうか

症状固定日は、骨癒合の状態やリハビリ後の症状等によって人それぞれ異なり、あくまで患者様の訴え、症状等を踏まえ医師が診断するものです。 症状について一番よく分かっているのは、被害者様ご自身ですので、診察の中で医師と相談して進めていくのが一般的です。

治療費打切り後の通院について

相談者の方から「保険会社の担当者から、事故からそろそろ半年になり症状固定と思いますので今後の治療費についてはお支払いできません、と言われました」という話をよく聞きます。 いわゆる、治療費の打ち切りです。 ここで注意をしなければならないのは、保険会社が言っているのは、「治療費についてはお支払いできません」と言っているのであり、治療に行くことまでを止めているわけではないということです。 治療を受けるかどうかは本人の意思で決めれば良いことですから、医師とも相談し治療が必要ということであれば、引き続き通院をすれば良いと思います。 その後の治療費をどうするかについては、健康保険に切り替える等、人それぞれの状況に応じ様々な選択肢がありますので、ご相談ください。

「症状固定」の時期

傷病の種類、程度によって一概には言えませんが、幣所の認定事例から代表的な傷病についてご紹介いたします。

頚部痛、腰痛、しびれ、めまい、耳鳴り等のむち打ち症状

むちうち病状は目に見えにくく、客観的には捉えにくい障害のため、後遺障害等級認定に際しては、受傷時の状態、治療内容、症状の経過等が重視されます。そのため、事故から半年以上の治療期間を経て症状固定となる場合が一般的です。 ※最短で6か月~最長で1年6か月 むちうちと後遺障害

骨折後の疼痛 事故から半年以上の治療期間を経て症状固定となる場合が一般的です。手術をしますと、また、状況が変わります。個別具体的には医師の判断になります。 ※最短で6か月~最長で1年6か月

醜状(しゅうじょう)障害 ケロイド状やデグロービング損傷まで多種多様です。 事故から半年以上の治療期間を経て症状固定となる場合が一般的です。 ※最短で6か月~ 醜状(しゅうじょう)障害

高次脳機能障害 脳の変化、リハビリの効果等を考えた場合最低でも1年間の経過を見る必要があるのではないでしょうか。胎児の認定に関わらせて頂いたことがありますが、その時は事故から約8年後に症状固定になりました。 ※最短で1年~最長で8年 高次脳機能障害

複数の症状がある場合 受傷した部位によって、治療内容や症状経過が異なるため、 それによって症状固定時期も異なることがあります。例えば、歯牙障害で 歯科に、 また高次脳機能障害として脳神経外科に通院されている場合は、一般的に歯牙障害の症状固定の方が早くなります。

動画による解説

ヨネツボ行政書士法人 Youtube公式チャンネル 事例の解説などを動画でご紹介しております。
 

「症状固定」後はどうすればいい?

後遺障害等級認定手続き

症状固定とは治癒ではなく症状が残存した状態ともいえます。 残存した症状を一般的には「後遺症」といいます。 加害者と解決をしていくためには、その「後遺症」が、自賠責保険の「後遺障害等級」として該当するかどうか、該当するとしたら何等級に該当するかをまず明らかにする必要があります。 その手続きとしては二通りあり、一つは任意保険会社が行う「事前認定」手続きであり、もう一つが自賠責保険に直接認定を求める「被害者請求」手続きです。

被害者はどちらの方法を選択してもよいことになっています。 そして、「後遺障害等級」として該当すれば、基本的にその等級に応じた「後遺障害分の損害」を加害者に請求することになりますし、該当しなければ「後遺障害分の損害」は請求できないということになります。 (但し、自賠責保険で該当しない場合でも裁判所で認定される場合もありますがここでは省略させていただきます。) 「症状固定」になり症状が残存した被害者からすれば納得の解決への第一歩がこの「後遺障害等級」の認定になるのではないでしょうか。

※「症状固定」後の治療について 「症状固定」したからと言って治療をしてはいけないということではありません。ご自身の体のためにも治療が必要ということであれば健康保険を使用して治療を受けることもできます。主治医の先生にご相談されることをお勧めします。

動画による解説

被害者請求のすすめ

後遺障害等級認定の手続き「被害者請求」をしましょう!

「症状固定」後の手続きを任意保険会社に任せて大丈夫ですか?

任意保険会社に任せる手続きを「事前認定」と言います。 基本的には「後遺障害診断書」をお渡しするだけなので簡便ではありますが、後遺障害等級として認定されるために、どのような検査が必要であるとか、どのような医療情報を記載したらよいのか、といったことまでサポートしてくれるわけではありません。 実際に、特に目にみえずらい症状(たとえば痛みやしびれなど)は、等級認定までの調査の際に医療情報が不足し、症状の実態が伝わらず、認定される可能性があるものの、認定されないことが多く見受けられます。 一方「被害者請求」においては、自身で必要書類を準備し、自身で加害者の自賠責保険へ申請するため手間がかかりますが、その点を専門家のサポートをうけながら進めることで、実態に合った等級評価につながる可能性が高まると思われます。 等級認定されるかどうかは、被害者にとって極めて大事なことです。主体的に等級認定を求めることができる「被害者請求」をおすすめいたします。 ただし、目に見えやすい症状など(たとえば右手の親指を欠損した場合や右足を3cm短縮した場合など)、必ずしも「被害者請求」の方が良いというわけではないこともありますので、自身の症状にとっては、どちらの手続きの方が良いか等、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

医療情報の不足(資料不足)とは

申請後の調査については、「損害保険料率算出機構」自賠責損害調査事務所が行っております。 こちらは公平中立な機関で、労災に準拠した認定基準によって判断をしていますが、明確な認定基準がすべて明らかになっているわけではありません。 そのため、自分にとっては、どのような書類を準備すれば等級認定されるかを検討することは非常に難しいものです。 認定される可能性があるのにも関わらず、認定されなかった原因の多くは、単にこの資料不足によることが多いと考えられます。 つまり、症状固定後の手続き(後遺障害等級認定)においては、どのような書類(医療情報)を提出するかということが非常に重要です。 また、自賠責保険では、医師が治療する上で普段は必要としない検査を求める場合があります。 例えば、膝の靭帯損傷によって膝にぐらつきの症状が出た場合、調査機関である損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所は、ストレス撮影という特殊なレントゲン撮影を要求します。ところが、医師は通常の診察でわかる場合にはわざわざストレス撮影をする必要はないと判断されます。 このような自賠責の考え方と医療の現場での考え方の違いが、資料不足の一因であるかもしれません。

いずれにしても症状固定時には、「後遺障害診断書」の作成、事前認定と被害者請求のどちらの手続きにするか、 その後の治療方法等、検討することがたくさんあり、大変重要な局面です。 症状固定後のお手続きについてお困りのことがございましたらお気軽にお問合せください。

「症状固定」についてよくあるご質問

  • 「症状固定」を保険会社と主治医が決めることはあるのでしょうか?

    あり得ると思います。 このような場合には、被害者が加害者の任意保険会社に同意書を提出し、その同意書をもって保険会社が主治医に症状固定の時期について確認することがあります。 しかし、「症状固定」については被害者と主治医で決めるのが一般的です。 日頃から、診察の際に主治医へご自身の症状等をお伝えしておくことが大事だと思います。

  • 保険会社から「治療費の打ち切り」「症状固定」と言われたら?

    「治療費の打ち切り」は、必ずしも「症状固定」を意味するわけではありません。 あくまでも保険会社の判断であるため、まだ治療を継続する必要があると医師が認め、被害者も納得がいかない場合は治療を続け経過をみることが大事ではないでしょうか。

  • 「症状固定」と言われ保険会社から後遺障害診断書が送られてきました。主治医にどのようにお願いすればよいのでしょうか。

    基本的には症状をありのままにお伝えすることが大切ですが、「後遺障害診断書」は等級認定において最も重要な書類です。詳しくは、お気軽にお問合せください。 後遺障害診断書とは?診断書の重要性とポイントを徹底解説

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